天気 の 子 新海 誠
天気の子 新海誠 考察
僕の実家は、地元ではわりと大きな建設会社を経営していて、周囲はなんとなく僕のことを跡取りとみていましたし、就職活動をするなかで本格的に将来を考えるまでは、僕自身も自分が継ぐのかなと思っていました。一方で実家に父の会社の仲間がよく集まってたばこを吸いながらわいわい麻雀をやっている様子は、楽しそうなのだけれど、なんとなくこういう男っぽい世界は自分には向かないんじゃないかなとも感じていました。 ――アニメーションには子どものころから興味があったんですか? もともと絵を描いたり物語を書いたりするのは好きでした。小学生のときには、当時出始めたばかりのパソコンを親にねだりました。テストの点数がクラスで 1 番になったら買ってくれると。がんばって 1 位になって買ってもらったパソコンは今みたいにネットにつながってもいないですし、「ファミリーコンピュータ」と違ってゲームもそんなにありません。遊ぶためには自分でゲームのプログラムを作る必要があります。僕はそれに興味があったんです。 たとえば、好きな絵本の絵をパソコンの中で再現して、そこに文章を表示して、自分の好きな音楽を打ち込む。キーを押すと次のページに進み、BGMまで流すことができるんです。文章と絵と音楽といったいろいろな素材を同時にコンピューターに入れると、オリジナルの簡単なアニメみたいなものが作れることがものすごくおもしろくて――。ものを作ることがすごく好きなんだというのは、高校生ぐらいから自覚としてはありました。ただ、それが今のアニメーション映画を制作する監督の仕事につながるなんて、当時の僕は想像したこともありませんでした。 ©2019「天気の子」製作委員会 エンターテインメントに救われた ――高校時代の何が今につながっていますか?
大ヒット映画「君の名は。」の新海誠監督の最新作を小説で! 僕は帆高。高校一年の夏、家出して東京にきた。 外はもう何日も雨ばかり。 この天気のせいか、雑誌の取材のバイトで "晴れ女"を探すことになって……。 そんな人、いるわけないと思っていたけど、 僕は、ふしぎな少女、陽菜さんに出会った。 「ねえ、今から晴れるよ」 そう言って陽菜さんが祈ると、空から光がさしてきて…… もしかして、本物の"晴れ女"!? 僕と陽菜さんの、 特別な夏がはじまる──!