精霊 達 の 楽園 と 理想 の 異 世界 生活
なんだか思わぬ方向に鍛えられてて戸惑うんだけど?」 ごもっともなご意見です。俺もマルコが接近戦に興味津々だし、体力作りにちょうどいいからって先生を探したんだよね。でも、魔法戦士、いや、精霊術戦士か? これはこれでロマンがあるから難しいところだ。 「うーん。精霊術師でも迷宮に潜るなら体力は必要だし、体術が使えるのも危機回避に役立つ。まあ、精霊術師としてではなく、冒険者として必要な訓練になるね。でも、精霊術師が本職なのは変わらないから、精霊術師としての訓練も頑張ってもらわないと困るけど……」 下級精霊のベルの風壁でも破られるんだし、浮遊精霊のふくちゃん達だと、手札は多い方がいい。でも、精霊術師をやめられてしまったらとても困る。大人のエゴというやつですね。 「冒険者として……そうだよな。命が掛かっているんだし、得られる技術は貪欲に吸収しないと駄目だよな。師匠が会っていい人だったら、先生の追加をお願いしてもいいか?」 どうやらやる気になってくれたらしい。リーさんにはジーナ、サラ、キッカの女性らしさが失われないように鍛えてってお願いしてあるけど、先生が追加された場合は、もう一度真剣にお願いしないと駄目だな。ムキムキなジーナ、サラ、キッカとか切なすぎる。マルコは……本人次第だ。 おそらくですが、7/9日にcomicブースト様にて『精霊達の楽園と理想の異世界生活』の14話が更新されると思いますので、よろしくお願いいたします。 読んでくださってありがとうございます。
精霊達の楽園と理想の異世界生活 - 二十五話 拠点拡張
現在の拠点の南側に同じ大きさの森用スペースを作った。それからまた手持無沙汰になったので、今日は大量の干物を作成しよう。やる事が無いと心配になって、ノモスに鬱陶しいと怒られるからな。 大量の魚を捌き海水に浸け込む。今回は一時間半。これなら塩味バッチリなはずだ。多分だけど。 魚を漬け込む間にトゥルと一緒に畑に水を撒き、ノモスに土の様子を確認してもらう。問題無く混ざり合ったようで、微生物が徐々に増えているそうだ。 元々小魚や海藻を砕いて大量に混ぜておいたので、今の方が正常な状態に近いと言われた。だが森用スペースに土を入れる時には、もう一度同じ肥料を作れと言われた。 まあ、小魚を取るにはベルとレインの協力が必要だから、帰って来てからだな。植物の種が来れば死の大地に緑が生えるかもしれない。楽しみだ。お野菜食べたい。 魚を海水に浸けて一時間半が経過した。干し台に移動して魚を並べる。美味しい干物が出来れば、次はタコとかイカを取って来て貰って加工するのも良いかもな。 回復魔法が使えれば生の魚にもチャレンジ出来るのに、命の精霊と契約しないと無理とか……死の大地だと難題過ぎるよ。 森が出来たら木も草も命なはずだから、大丈夫にならないかな? 動物が必要だとかなり厳しい。森が出来ても、死の大地を通って野生動物が自力で来てくれるとかありえないよね。 *** 細々とした物を作ったり、プールで涼を取ったり、ディーネやノモス、トゥルと語り合ったりしながら時間を過ごし、ベルとレインが帰って来る予定日になった。 ちなみにディーネは自分がどれだけ姉としての、威厳と優しさを兼ね備えているのか力説していた。何故姉というポジションに拘るのか、疑問が尽きない。 何となくソワソワしながら時間を過ごす。細々した事もやりつくしたので、やる事が無くて時間が経つのが遅い。 「裕太ちゃん、やることがないのなら、水路を増やさない?」 「水路を増やす? 増やす分には構わないけど、何処に引くんだ?」 プールまでの水路はあるし、飲料用の水は収納し、トイレは穴を掘ってオガクズを敷き詰めただけなので、水を引く必要は無い。 「森のスペースまで水路を引いて欲しいの。森でも水は必要でしょ? それに。森にある泉って綺麗よね」 なるほど。水量は豊富らしいし問題無いか。森に木を植えても雨が降らない死の大地では、水が無いと木が死んでしまう。 泉があれば水も撒きやすいし、どうしても水路のつなぎ目からは少し水が漏れる。地面がカラカラに乾くのを抑える効果もあるだろう。悪くない提案だな。 「分かった。水路は土を入れた後に作るけど、泉の部分は今から作っておくよ。森の中になるんだからプールぐらいの大きさで良いだろ?」 「裕太ちゃん、ありがとー。形は丸い方がお姉ちゃん嬉しいなー」 「丸?
……まあ、あれだ。イルカじゃなくて精霊だから大丈夫か。 「おいしかったわー」 「そうね。とても美味しかったわ」 ディーネとシルフィが幸せそうに微笑む。ノモス以外はみんな幸せそうだから出して良かったな。まだお気に入りのお菓子は残っているから、節目節目に出して行こう。 「ノモスには悪かったな。そうだなノモスは酒は好きか?」 ドワーフっぽいから酒は好きそうなんだが、どうだろう? 「酒か! 異世界の酒があるのか?」 「お酒!」 ノモスだけでは無く、シルフィとディーネも食いついてきた。精霊はお酒が好きなのか? 「ああ、そうだな。今のところ俺の最大の目標はシルフィと契約する事だから。契約出来るようになったら故郷の酒をお祝いで出そう」 「ふむ。楽しみにしておる。裕太、頑張るのじゃぞ」 「裕太ちゃん。お姉ちゃんも飲んで良いのよね?」 「裕太。私と契約するんだから、私も飲んで良いわよね?」 「一升瓶だから。四人で何杯かぐらいの量しか無いけどみんなで飲もう」 ケチケチしないで酒を全部放出すれば、喜んでもらえるかもしれないが、長生きする予定だから日本の物が無くなると辛い。お守り代わりに出来るだけ残しておきたいからな。 大精霊の三人がぼそぼそと囁き合っている。漏れ聞こえてくる言葉は微妙に物騒だ。内容はこんな感じだ。 シルフィ。もう精霊を連れて来るんじゃないぞ、取り分が減る。もうドリーに声を掛けちゃったわよ。何じゃと……五人になってしまうな。裕太ちゃんが命の精霊にも興味を持っていたわよ。ふむ。あ奴がここに来るのは当分無理じゃろう。火の精霊も来そうじゃない? 断固阻止じゃ。 お酒のせいで助けを期待出来そうな、精霊の来訪が拒否されてしまいそうです。そんな事をしたらお酒は無しだと言ったら、冗談だと言っていましたが、不安です。