稲見 一 良 ダック コール
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パッセンジャー 19世紀のアメリカ。心優しいサムは、猟の苦手な若者だった。ある日のこと、山奥に入った彼は、見たこともないほど大群のリョコウバトと遭遇する。こんなおびただしい数の獲物なら誰でも簡単に仕留められる。サムは獲れるだけのハトを抱えて村へ帰ろうとしたところ、そこへ隣村の狩人たちが大勢でやって来て、あたりかまわず銃を撃ち始めた──。 密猟志願 家庭に居場所のない「密猟願望」のある中年男性。ある日彼は、森でヒロという逞しい少年と出会う。知恵を絞った狩りが得意なヒロにすっかり興味を持った男性は少年に弟子入りし、それ以来二人はことあるごとに森で共にするようになった。そんな彼らが思いつきである計画を実行することになる。その計画とは──? ホイッパーウィル 大戦後のアメリカ。猟師として暮らす元軍人で日系アメリカ人のケンは、ある日保安官の頼みで脱走した囚人の捜索を手伝うことになった。看守を殺傷して逃げ出した囚人は四人。ケンの働きで次々と脱走犯は捕まるが、残る一人は大自然をよく知るインディアンの男。はたしてこの追走劇の結末は──? 波の枕 乗っていた漁船が火事を出し、命からがら脱出した漁師の源三青年。なんとか焼死は免れたものの、次の不安に襲われていた。それはどうやって岸へたどり着くか。そんな彼が波間を漂っていると、地獄に仏と大きなグンカンドリが止まったひと塊の流木が見えてきた。源三が泳いで流木に近寄ると、そこにはトリ以外に巨大なカメが流木を枕のように頭を乗せて休んでいたのだ──。 デコイとブンタ 密猟者に捨てられたダック・デコイ(カモ猟などでおとりに使われる実物大の模型の鳥のこと)は、ある一人の少年に拾われる。少年の名前は「ブンタ」といい、どうやら口がきけない様子だった。そんな彼らはシーズンオフ間近の遊園地の観覧車に乗るが、何かの手違いから閉じ込められることに。そこでブンタ少年がとった行動とは──?
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電子書籍 石に鳥の絵を描く不思議な男に河原で出会った青年は、微睡むうち鳥と男たちについての六つの夢を見る―。絶滅する鳥たち、少年のパチンコ名人と中年男の密猟の冒険、脱獄囚を追っての山中のマンハント、人と鳥と亀との漂流譚、デコイと少年の友情などを。ブラッドベリの『刺青の男』にヒントをえた、ハードボイルドと幻想が交差する異色作品集。"まれに見る美しさを持った小説"と絶賛された第四回山本周五郎賞受賞作。 始めの巻 ダック・コール 税込 649 円 5 pt
ダック・コール- 漫画・無料試し読みなら、電子書籍ストア ブックライブ
」やなんかを参考にしたりするけれども、ここでまた出て来るのは、そういった選出されたものを跨いだものである。 稲見一良 の短編集『 ダック・コール 』は「1992年 このミステリーがすごい! 」の3位であり、かつ、ベスト・オブ・ベストの6位。さらには 山本周五郎賞 を受賞した作品。 6編の短編をプロローグとエピローグで、結ぶ時間も国も場所も異なるけれども、共通するのはどの短編にも野生の鳥が活き活きと、あるいは狩猟がキーワードとして描写され、その編の主人公との関係を持つ話しとなる。短編はそれぞれで完結していて、サラリーマンの話しだったりリタイアしたおじいさんの話しだったり、外国の話しであったり、その内容もあるいは冒険譚だったり、ハードボイルドな捕物であったり。先述のように共通項はあるけれども、それぞれで独立しているので、区切りもあって読み進めるのにも良さがある。二話と六話はそれぞれ『ミステリマガジン』 『奇想天外』 に掲出されたものであり、その他は書き下ろし。 わからんけど、順番として二話、六話があって、その他4話をつくってプロローグとエピローグを書いたのかしら。もしそうならそれいる?みたいなかんじにもなっちゃいそうなアレでアレ。 で、読後感の最初の所感は果たしてミステリーとは、というところであり、先述のように「1992年 このミステリーがすごい! 」の3位であり、かつ、ベスト・オブ・ベストの6位である。で、読み通した後に、あれ、どれがミステリーだ、みたいな気持ちになったというところがある。「不思議な物語」をミステリーと捉えるのであればまぁあるいはってところだけれども、ファンタジーとミステリーの間で揺れそうになる。ともあれそれぞれ短編の、人、自然の描写は鮮明で印象が強い。読んでないけれども レイ・ブラッドベリ の『刺青の男』がモチーフになっているとのことで、あるいはこの作品が気になったのなら、1つの作品からつながるリレーで、次はこの『入れ墨の男』を読むのかもしれない。