人工知能の作り方 三宅
境目研究家の安田佳生氏が、逆説的にAIの可能性を探る対談企画。今回の相手はAIの専門家・三宅陽一郎氏。AIの知見は「素人以下」という安田氏は、多様な観点から人工知能の可能性を追求し続ける三宅氏にどう迫るのか…。1回目のテーマは、ズバリ「そもそもAIは人間を超えれるの?」。 そもそも人間を超える人工知能はできるのか 安田 「AIと哲学」というテーマで本を書かれてますよね。 三宅 はい。 安田 個人的にすごく興味深いんですけど。 三宅 ありがとうございます。 安田 AIって、進化し続けたら自我に目覚めるんですか?いや、そもそも自我とは何なのか。その答えは出てるんですか? 三宅 まだ段階的な答えしかありません。 安田 段階的な答え? 三宅 知能って、玉ねぎの皮みたいに一皮むくとまた新しい中身が出てくるんです。 安田 はあ。玉ねぎ? ゲームキャラクターに煩悩と堕落を。ゲームAI開発の第一人者、三宅陽一郎氏が語る「AIと哲学の関係性」|FINDERS. 三宅 外側からだんだんと本質に向かって、一歩一歩ですけど結論を出しつつあります。 安田 じゃあ、いずれ自我とは何かが分かる日が来る。 三宅 そう簡単にはいかないです。知能は「環境と内部の境界にある」というのが出発点なんですけど。 安田 環境と内部の境界? 三宅 内部を持つのは生物にとって本質的な事なんです。 安田 内部っていうのが、よく分からないんですけど。 三宅 生物にとっては身体、会社でいえばシステムですね。 安田 なるほど。身体のことですか。 三宅 はい。その周りに外の環境があって、内部を保とうとする。同時に内部を動かそうとする。「それが知能である」いうところが出発点です。 知能を追求するには身体が不可欠 安田 身体を保つことと、身体を動かすこと。それが知能の目的だと。 三宅 そういう定義の元に研究を進めていく中で、やっぱり身体っていうものが知能にはどうしても必要だってことになりまして。 安田 身体を抜きに知能だけを研究していても、完璧なAIにはたどり着けないと。 三宅 たとえば「物理的な時間」と「知能の持つ時間」は違う時間だと考えられています。 安田 え?どういうことですか。 三宅 どうしても数学/物理の人は時間を点や線のように扱ってしまう。でも知能の中では多重にいろんな時間が流れてる。 安田 多重な時間? 三宅 物理的な流れもあれば、食べ物の流れもありますし、3年前に殴られた記憶がいまぱっと浮かんできたり。 安田 過去から未来へという一本道ではないと。 三宅 知能が持つ主観的な時間はすごく迂回する。何重にもとぐろを巻いて流れている。 安田 う〜ん。難しい。ちなみに人工知能って、どうやって出来てるんですか?
- 5分でわかるAI作成、素人でも理解できる人工知能の作り方 | AIZINE(エーアイジン)
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- 『人工知能の作り方 ――「おもしろい」ゲームAIはいかにして動くのか』|感想・レビュー - 読書メーター
5分でわかるAi作成、素人でも理解できる人工知能の作り方 | Aizine(エーアイジン)
三宅 陽一郎 (著) ゲームAIに興味があり、読んでみました。 ネットゲーは、エンタメ+ソフトウェア開発+AIが融合し、1つの生態系をつくっているようです。 もし、AIが爆発的に進化するとすれば、ネットゲーの世界においてだと思いました。
ゲームキャラクターに煩悩と堕落を。ゲームAi開発の第一人者、三宅陽一郎氏が語る「Aiと哲学の関係性」|Finders
鎌倉市民を中心に企画された「禅」がテーマのイベント「 ZEN 2. 0 」が、9月8日、9日の両日に鎌倉の建長寺で行われた。禅文化を世界に発信する国際カンファレンスとして、住職をはじめ、テック系企業の経営者や政治家、インフルエンサーといった各界のスペシャリストが登壇することでも話題になっている。 イベントで登壇した、ゲームAI開発の第一人者である三宅陽一郎氏のセミナーから、人工知能と禅の深い関係性について、一部を抜粋の上紹介したい。 人工知能と禅。一見、対極にあるように見えるこの2つだが、人工知能を開発する上では、禅をはじめ、哲学を理解することが必要だと言う。人工知能を開発する過程で三宅氏が肉薄する、人間の叡智とは? 対話AIの最前線 人工知能を進化させる「キャラクターと話したい」欲求 - KAI-YOU.net. 文・構成:庄司真美 写真:松島徹 会場となったのは、1253年に創建された、鎌倉市にある禅宗の建長寺。 三宅陽一郎 デジタルゲーム開発者 京都大学 総合人間学部で数学を専攻。大阪大学大学院 理学研究科物理学修士課程、東京大学大学院 工学系研究科博士課程を経て、人工知能研究の道へ。リードAIアーキテクトとして『ファイナルファンタジーXV』などの制作に携わる、ゲームAI開発の第一人者。国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会チェア、日本デジタルゲーム学会理事、芸術科学会理事、人工知能学会編集委員。おもな著書は、『人工知能のための哲学塾』 『人工知能のための哲学塾 東洋哲学篇』『人工知能の作り方』『なぜ人工知能は人と会話ができるのか』など多数。 人を理解することからAI開発は始まる 人工知能の発展には、人の知能を知ることが不可欠です。逆に言えば、 AIを追求することは人間を探求すること にもつながります 。 私が開発している人工知能には、身体と知能、そして機能があります。それと同じように機械にもハードウエアやソフトウエア、知能があります。それでは、知能と身体は分けられるのでしょうか? 人の身体の場合、頭だけが知能というわけではありません。身体全体に神経があることを思えば、身体全体が知能とも言えるわけです。人間の知能を大きく2つに分けると「意識」と「無意識」があります。実は 我々の知能のほとんどの機能は無意識の方にある のです。 たとえば、この境内の会場に入ってきたときに、どこを歩けばいいかということは、一瞬で判断できます。環境を認識する知能は、無意識の内に潜んでいて、無意識は言語によって構造化されています。つまり、「無意識」は何もない海なのではなく、物事を判断するために、ある程度言葉でインプットされているのです。 私たちの意識にはいくつかの境界面があって、一番奥底には、仏教で言うところの阿頼耶識(あらやしき)、つまり、物事を判断せず、物事をそのまま映し撮る部分があります。そこから、「これはコップです」などという意味を与えて、言語が解析されて表層の意識に上がってくるのです。 通常多くの人が目にする人工知能はデータ化されているものですが、私が開発しているのは、無意識の方を扱う分野で、生態学的な人工知能です。その部分を駆使して、ロボットやゲームのキャラクターを開発しています。人間の精神を機械化するために、人工知能にも意識と無意識を作る試みです。 AIに痛みを理解させるにはどうすればいいか?
対話Aiの最前線 人工知能を進化させる「キャラクターと話したい」欲求 - Kai-You.Net
Hong Kong. June 2009. 2K BotPrize という、ちょっと変わったコンテストがあります。いろいろな人間と人工知能がゲーム上で戦って、「お前人間だろう」と、人間に一番間違えられた人工知能が優勝するというコンテストです。強い人工知能ではなくて、ゲームの中で人間らしい人工知能を作った人が勝ち。つまりデジタルゲームにおけるチューリングテストになっているのです。CERA-CRANIUM認識モデルを実装したこの人工知能は、2010年の2K BotPrizeで優勝しました。 実際の成績表はこのように、人間と間違われた確率が記載されています。その値が最も高い人工知能が優勝となります。逆に、人工知能と間違えられる人間ってどうなのだろうという話もあります。ただ、うまいプレイヤーは限りなく人工知能に近くなっていくので、「あまりにも発達したプレイヤーは人工知能と区別がつかない」のではないか、とアーサー・C・クラークの警句になぞられて言うことができます。だから、人間らしい、ということは、ちょっと下手なほうがいいのですよね。どう下手かというのが問題なのですが。 さて、ここで、全体のテーマに戻ります。 これまで話をしてきたのが機械的な人工知能で、外側から知性を作ろうというアプローチでした。では、いつ人工知能は主観的な世界を持ち始めるのでしょうか? 『人工知能の作り方 ――「おもしろい」ゲームAIはいかにして動くのか』|感想・レビュー - 読書メーター. 意識モデルはまだ機械的な人工知能を作っているわけで、人工知能が主観的な世界を持っているかどうかはまだ微妙なところです。 いつ人工知能は主観的な世界を持ち始めるか? それに対する僕の答えですが、主観的世界を持つためには、身体を持たねばならないと考えています。身体を持たない人工知能は限りなく論理的です。ところが、身体というものを持ち世界に住みつくことによって、知能は大きな制限を受けると同時に大きな可能性を持つ。ここからは、身体性に着目して人工知能を考えていきたいと思います。 「人工知能はどのように自我を獲得するのか? :新刊「人工知能のための哲学塾」第零夜(後編)」 に続く。
『人工知能の作り方 ――「おもしろい」ゲームAiはいかにして動くのか』|感想・レビュー - 読書メーター
三宅 実際の知能みたいに、人工知能にもたくさんの階層をつくっていきます。 安田 階層ですか。 三宅 はい。一番下は動物的な知能。賢いキャラを作るにしても、一番下には「お腹がすく」とか「敵と戦う」とか、そういう本能的なものをつくります。 安田 それはどうして? 三宅 なぜかというと、それ以外に世界と結びつける方法がないからです。正義とか抽象的なものでは結び付けられない。 安田 なるほど。現実世界と繋がってるのは、そういう生々しい部分だと。 三宅 一番下は本能的で、いきなりガブっと噛んだり。ちょっと上に行くと1分待とうかなと、上から見て抑制する自分がいる。 安田 ちょっと考える余裕ができると。 三宅 さらにもうちょっと上になると、今度は1時間単位でものを考えられる自分がいて。さらにその上には一年単位で考えられる自分がいる。 安田 時間軸がどんどん伸びていくと。 三宅 はい。そして抽象化していきます。一生という概念を考えられたり、「生きるべきか死ぬべきか」みたいなこと考えたり。 安田 へえ。人工知能って、そうやって出来てるんですね。 三宅 私たちは、そういう風にフルセットで用意していきます。 抽象的な知能だけでは人工知能はつくれない 安田 全ての人工知能が、そういう構造というわけじゃない? 三宅 一番上だけの「抽象的な知能」だけで人工知能を作るというのは、西洋の伝統的な人工知能。それだと現実でなにも動かすことはできない。 安田 動かせないんですか? 三宅 ロジック的な思考しかできない。正義とはなんだ、とか政治はどうとか、そういう知能があったとしてもコップひとつ掴めないというのが現実です。 安田 なるほど。じゃあ、動物にあるような本能を、AIにも作ってあげる必要があると。 三宅 本能というのは生物学が追求してきたことで、生物は環境の中で特定の特徴と結びついているという考え方です。 安田 特定の特徴と結びついている? 三宅 例えばカメレオンは森のことをなにもかも分かっているわけでなく、ただアメンボの動きにすごく敏感に反応することができる。 安田 アメンボの動き? 三宅 それを察知すると舌がベロっと出る。つまり「特定のものを見つけ、特定のアクションをする」というひとつのセット。それを機能環と言います。 安田 きのうかん? 三宅 例えばサルはリンゴを見たらガブっと食べる。蚤は湿気があったらかみついて血を吸う。そうやって動物たちは環境の特定の側面に対してセンサーが出来上がっている。だからうまく行動がとれるわけです。 安田 なるほど。それが本能の正体であると。 三宅 高度になるほどいろいろなものとの結びつき方が構成されて、その集合体のことを環世界と言います。 安田 かんせかい?
一つの大きな目標は, いきいきとしたキャラクターを作ることです。 プレイヤーの周りの仲間, そして敵, ボスなど, ステージ上をさまざまなキャラクターたちが彩ります。究極的に, そのキャラクターたちに命を与えることが, デジタルゲームの人工知能の夢です。もちろん, そんなことはできないかもしれないし, できるとしても遠い夢です。我々は, 生命とは何か, 知能とは何か, 記憶とは何か, 判断とは何かさえ知らないのですから。 ですから本書で書かれることは, その道半ばのカケラたちです。でも, それはやがて未来で一つの知能として, 生命として, 組み合わされていくカケラたちです。ですので, 一つ一つのトピック自体をまず理解し, それらがほかのトピックとどうつながっているか, そんな知のネットワークが徐々に形成されていくことを本書は目的としています。そして, 知能とは個々の技術を超えて, それらを貫く何かとして形成されていきます。部分と全体が有機的に複雑系として構成されていくのが, 自律的な人工知能の基本です。 この本の目標 この本を手に取ったあなたは, きっとゲームの人工知能ってどうなっているんだろう? どうやって作るんだろう? という疑問を持っていると思います。キャラクターに考えさせたい, もっとエキサイティングなゲームにしたいと思われていることでしょう。この本は最終的に, それらができるところまでみなさんを運んでいきたいと考えています。 私が立っている場所は, ゲームAIという山の中では少し先のほうかもしれませんが, みなさんからそんなに遠くありません。この山はまだ発見されたばかりで, 皆, 中腹を登りはじめたばかりです。ですから, たくさんの道が真ん中までは整備されていますので, この本では, その道のいくつかに沿ってみなさんをご案内できればと思います。