人手不足は本当か嘘か?中小企業の人手不足の実態をデータ解説
日本はこの構造的問題から抜け出せるか 日本が嵌った逆ケインズ現象の罠 業務量の増大によるサービス残業や人手不足の深刻化を理由に、ヤマト運輸などの宅配業界で、労働条件の改善の取り組みを本格化させる取り組みが話題となっている。 インターネット通販などの急速な拡大を背景としたもので、供給元のアマゾンなどの通販サイトや、通販利用者の理解が、取り組みの実現には欠かせない。 ただそれにしても、前提となる運賃値上げはヤマト運輸の場合、実に27年ぶり。どうしてこれだけ長い間、労働条件の改善の取り組みが、放置され続けてきたのだろうか。 そもそも人手不足にあるのは、宅配業界にとどまらない。 厚生労働省が発表した2016年度平均の有効求人倍率は1. 39倍と、バブル期の1990年度(1. 43倍)以来の高水準を記録した。 経済学の教科書には、人手不足になれば、労働市場の価格メカニズムにしたがって、おのずと賃金に上昇傾向が生まれると、きまって記されている。 しかし、日本の現実は、教科書の指摘とはおよそほど遠い。 同じく厚生労働省によれば、物価の変動を加味した実質賃金は、2016年に前年比0.
【人手不足は本当?嘘?】業界別の賃金や採用されない理由を徹底解説 | Jobq[ジョブキュー]
3% でしたが2017年には30. 8% に上昇しています。一方で13年かけて労働者総数の全体は700万人増えているのですが、そのうち一般労働者は200万人、パートタイム労働者は500万人です。 増加したパートタイム労働者数は全体を決定づけるほど多いとは言えないので、2014年を基準に考えても、 「パートやアルバイトなど低賃金な労働者も増えて平均が下がった」だけでは、実質賃金指数が下がり始めた理由のすべてを解決できないでしょう。 つまり人手不足のはずなのに、ほとんど賃金は上がっていないのです。 労働市場が不正常なのか、実は人手不足ではないのか、経済が活性化すれば給料に反映されるという考え方が間違っているのか、果たして何故でしょうか。 有効求人倍率、失業率という2 つの指標をまず調べてみましょう。 有効求人倍率の急上昇はどうすれば説明できるのか 求人倍率は、経済統計指標のひとつです。仕事を探している人1人あたり何件の求人があるかを示しています。求人倍率が1. 0以上であれば、仕事を探している人数より企業が欲している人数が多い状態を示しています。 求人倍率には2種類あります。新規求人倍率と有効求人倍率です。新規求人倍率とはその月新たに取り扱った求職者・求人数を示し、有効求人倍率とは先月からの繰越分を含めます。一般的には有効求人倍率が用いられるでしょう。 では、1993年から2017年までの25年間の、有効求人倍率の推移を見てみましょう。次の図6-3の通りです。 雇用形態は正社員だけでなく、パートタイマー、アルバイト、契約社員、期間工、労働者派遣事業、請負、嘱託などの非正規雇用も含まれます。そのため、2005年からは正社員のみの有効求人倍率も計測するようになりました。 パートを含めると2014年、パートを除けば2015年、正社員のみでも2017年に有効求人倍率が1. 0を超えています。ものすごく右肩上がりの急上昇とも言えます。 では、 現状は人手不足だと理解して良いかと言えば、違和感を覚える点が幾つかあります。 有効求人倍率は有効求人数と有効求職者数で求まるので、まず、それぞれの内訳を表示してみましょう。時系列で過去と比較ができるよう、1963年から2017年現在までの推移は次の図6-4の通りです。 推移を見ると、 有効求職者数は2009年をピークに下がり続ける一方です。 ここまでの低さは1993年までさかのぼる必要があります。他の民間の事業も同じように求職者数は右肩下がりなのでしょうか。そんな訳ないですよね。 有効求職者数は「仕事を探している人数」ではない?