有性生殖とは
無性生殖と有性生殖の組み合わせが生む多様性 無配生殖は無性生殖の一種であり、シダ植物でもそうであると考えられてきた。しかし私たちは今、シダ植物の無配生殖は、これまで考えられていたような単純な無性生殖ではなく、有性生殖等の遺伝的多型を生みだす能力と、大量に子孫を残せる無性生殖の能力の、両方を兼ね備えた生殖様式なのではないかと考えている。 外部形態からシダは1万種とされているが、遺伝的変異を獲得することで新たな環境に適応した無配生殖型や、交雑によって新たに生じた倍数体を含めると、その種類ははるかに多いかもしれない。今後、無配生殖型マレーホウビシダの自然集団で有性生殖能以外の遺伝的多型を生じるしくみ(減数分裂時の不均等分裂や同祖染色体対合)などが機能しているかを調べるとともに、他の分類群における無配生殖の多型を生みだす機構についても解析をすすめ、シダ植物の無配生殖という生殖様式の全貌を知り、種の多様性と生殖様式の進化との関係を明らかにしていきたい。 篠原 渉 (しのはら・わたる) 2004年京都大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。京都大学大学院理学研究科グローバルCOE特別講座助教。シダ植物と屋久島の高山性ミニチュア植物を対象に、種多様性、種分化、適応進化を研究している。
無性生殖と有性生殖を中学生向けに解説!
参照情報
質問者: 教員 額鷹 登録番号1654 登録日:2008-06-13 玉石混交のインターネットの中、確実な知識を得られる場として、感謝しつつ利用させて頂いています。 さて、今回、おたずねしたいのは、有性生殖と無性生殖の区別の基準です。 以前は、配偶子の関与を基準とし、配偶子が関与する方法を有性生殖、配偶子が関与しない方法を無性生殖としていたと記憶しています。 この考え方の場合、動物の単為生殖は"有性生殖"の特殊なパターンということになると思います。 しかし、東京大学生命科学教科書編集委員会編『理系総合のための生命科学』(羊土社)では、動物の単為生殖が"無性生殖"の事例として説明されています(同書p. 29) 栃内新・左巻健男編著『新しい高校生物の教科書』(講談社ブルーバックス)のp. 無性生殖と有性生殖を中学生向けに解説!. 166に「有性生殖と無性生殖の定義」という解説コラムがあり、「最近の生物学では有性生殖を『親個体とは遺伝子の組合せが異なる子をつくる生殖』、無性生殖を『親と同一の遺伝子を持つ子をつくる生殖』と定義するようになって」いるという記述があります。 ということは、有性生殖と無性生殖を区別する学問的な基準が変わったと理解してよいのでしょうか? その場合、胞子をつくる生殖が二つに分かれ、カビの分生子形成は無性生殖、真正胞子形成は有性生殖という分類になるという理解でよいでしょうか? 少々、細かい質問ですが、高校生が混乱しやすい部分ですので、よろしくお願いします。