もっと知って、もっと話そう。臓器提供の意思表示。| 日本臓器移植ネットワーク
緑の文字の用語をクリックすると用語解説ページに移動するよ。 じんラボ をフォローして最新情報をチェック! 皆さんは、「臓器移植」という言葉を聞いたことがありますか?
改正臓器移植法施行で身近に起きる問題 [社会ニュース] All About
――臓器移植を待つ患者、そして提供者は現在、どのような状況なのでしょうか? 1997年10月、臓器の移植に関する法律が施行され、本人が脳死判定に従い臓器を提供する意思を書面で表示し、かつ、家族が脳死判定並びに臓器提供に同意する場合に限って、法的に脳死移植が可能になりました。その2年後の1999年に高知県内の高知赤十字病院において、初めて法の下で脳死移植が行われましたが、制約が非常に厳しく、年間一桁の脳死移植数でした。 転換期となったのが、2010年の臓器移植法改正です。改正法案では、15歳未満の子どもも含めて家族の承諾のみで脳死下の臓器提供ができるように改正され、全面施行されたことをきっかけに、脳死移植件数は増加しました。しかしながら、海外と比較すると脳死移植数は極端に少ないと言わざるを得ません。 出典:(公社)日本臓器移植ネットワークのデータから作成 医療不信、法律の不備だけが原因ではない 脳死移植が増えない「医療システム」の問題 ――なぜ、日本の脳死下臓器移植数は、海外に比べ少ないのでしょうか? 世界で初めて心臓移植が行われた翌年の1969年、札幌医大の和田教授によって日本で初めての心臓移植が行われました。レシピエントの方は、残念ながら移植後83日目に亡くなられました。その前後からドナーの脳死判定や、レシピエントの移植適応をめぐる問題が指摘され、和田教授は殺人罪で告発され、札幌地検が捜査しましたが、真相の解明には至らず、証拠不十分で不起訴となった事件があります。 この事件が招いた医療不信のために、特に脳死移植に対する懸念が強くなり、その後の日本での臓器移植医療が停滞したことは大きな原因の一つであると思います。しかしながら、日本の脳死下臓器移植数が海外と比べて少ないのは、この事件による問題だけではなく、医療システムの不備が問題であると思います。
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再生医療にかかわる倫理的問題の解決の糸口になるとして、注目されているのがiPS細胞です。iPS細胞について、インターネットなどの医療ニュースでも、時々取り上げられるので、ES細胞と同様に名前を聞いたことのある人もいるでしょう。 iPS細胞も、さまざまな細胞に分化でき、人工的に作られます。具体的な方法としては、人間の皮膚の脂肪などから取り出した細胞に、特定の遺伝子を組み込むことで作ります。iPS細胞の作成は自分の細胞を使うことができます。ES細胞で用いられる受精卵のように、少なくとも生命の始まりとなる細胞を犠牲にする必要はありません。このように、iPS細胞の登場は、ES細胞で課題となっていた倫理的問題を解決したといえるでしょう。 再生医療の倫理的問題は解決済みなのか? iPS細胞の登場で、再生医療の倫理的問題が解決したのはほんの一部です。近年では、iPS細胞を使って、複数の動物をかけ合わせた新種の動物が作り出されています(医学的にキメラといいます)。また、臓器移植における慢性的なドナー不足から、再生医療を用いて臓器を大量に作れるという可能性もゼロではありません。 日本では臓器移植法の成立時に、さまざまな審議が行われていました。まさに今に再び、再生医療を通して、医療の持つ倫理的問題に突き当たっているといえるでしょう。 まとめ 再生医療の治療法のなかには、臓器移植のときに問われたような「神の領域」と呼ばれる部分の検証を必要とするものがあります。再生医療の治療法のなかには研究段階のものが多く、今後さらに検証を重ねていく必要があるものです。再生医療をはじめとする医療技術は、日進月歩で発達していますが、倫理的問題を疎かにするべきではありません。特に、再生医療の倫理的問題の検証については、科学者によって行われるのではなく、さまざまな分野の専門家や私たち一人ひとりの意見が大切となります。今回を機に、再生医療の恩恵を期待するとともに、倫理的な観点から自分なりの意見を考えてみるのもよいですね。
移植を必要としている患者さんはどれくらいいるの?