個人再生 住宅ローン 滞納
第六章 住宅ローンの延滞がある場合は? 松山田さん : ええ?住宅ローンの延滞があると、もう個人再生が利用できないんですか?
個人再生で住宅ローンを解決するための「住宅ローン特則」とは?
住宅ローンも「借金」であり、その借金を担保するために抵当権が設定されている場合、住宅ローン債権者等は自由に抵当権を実行することができます。 また、個人再生の手続が開始されると、債務者は、個人再生の対象となる借金については、再生計画の定めるところによらなければ返済することができませんので、家を残したいからといって自己判断で住宅ローンだけそのまま払うといったことはできないこととなります。 そのため、支払の遅れによって一括払いの義務を負い、抵当権が実行され、債務者は住宅を失ってしまうことになるのが原則です。 しかし、住宅資金特別条項を利用できる場合には、裁判所から一部弁済の許可を得ることにより、住宅ローンについてはそれまで通りの返済を続けていくことができます。 そして、住宅ローンの支払いを基本的に滞りなく行うのと並行して、減額されたほかの債務を完済することができれば、民事再生後も、住宅を手元に残すことができます。 (2)住宅の競売手続きが開始していても停止させられる! 住宅資金特別条項を利用して個人再生を行える見込みのある場合、住宅の競売手続きが開始されていても、申立てにより、裁判所に一定期間競売手続きを停止してもらえる可能性があります(民事再生法197条1項)。 ただし、競売手続きが開始されるなど、滞納期間が長期に及ぶと、滞納している分の住宅ローンや遅延損害金も支払わなければならなくなり、結局、個人再生手続きの負担が重くなりかねません。 そのため、住宅ローンの返済を滞納するよりも前に弁護士に相談することをおすすめします。 (3)住宅ローンの返済期間を延長できる! 住宅資金特別条項を利用した個人再生をする場合、住宅ローンの滞納がなければ、当初の契約どおり住宅ローンの返済を続けていくのが通常です(そのまま型・正常返済型)。 住宅ローンを滞納している場合には、将来の返済分は当初の契約どおりに返済し、滞納分(元本・利息・損害金)については再生計画に定める返済期間内(原則3年・最長5年)に支払うことができます(期限の利益回復型)。住宅ローンの滞納金額などが多く期限の利益回復型では支払が不可能な場合には、70歳までに完済することを条件として住宅ローンの返済期間を最長10年間延長できる可能性があります(リスケジュール型)。さらに、住宅ローン以外の借金の額が多額であるなどで、リスケジュール型での支払も不可能な場合には、それに加え、再生計画に定める期間内は元本の一部の返済の猶予を受けることができる可能性もあります(元本猶予期間併用型)。 上記の住宅資金特別条項を定めるに当たっては、住宅ローン債権者との協議が必要ですが、必ずしも住宅ローン債権者の同意は必要とされていません。 住宅ローン債権者の同意があれば、上記の条件とは異なる特別条項を定めることもできることとされています(合意型)。 さらに詳しく住宅資金特別条項について知りたい方はこちらの記事をご確認ください。 住宅ローンの「巻き戻し」とは?
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