大人になってから気づく『千と千尋の神隠し』の良さ | お喜楽夫婦の徒然なる日々
子どもをターゲットにするのであればもっと壮大な冒険を描いても良さそうです。 しかし、実際に10歳の少女が知らない土地でとても頼りになるとは思えない仲間( カオナシ 、 坊ねずみ 、ハエドリ)と、しかも片道しか運行していない電車に乗るというのも……ある意味ものすごい冒険なのかもしれません。 このような展開からも、とてもリアリティー溢れる作品のように思います。 『神隠し』に隠されたもう一つのメッセージ そんなリアルな社会を、千尋はあろうことか偶然迷い込んだ異世界で同年代の子どもよりも早く経験することになります。 それは千尋が10歳にして自分の道を見失ってしまったからです。 これこそが、『神隠し』に込めたメッセージではないでしょうか? 神隠しに遭ってしまったのは、紛れもなく『自分自身』なのだということ。 エマ すると、『千と千尋』でなくともいいのでは? 『千尋の神隠し』ではいけないの?、という疑問が出てきそうです。 作中で千尋は、一瞬自分が『千尋』であることを忘れてしまい「千になりかけてた」と言ってますね。 異世界で千尋は『千尋』なのか『千』なのか自分に問いかけ、葛藤します。 物語では名前が大きなカギになっているので『千と千尋の神隠し』でなければ『自分は何者であるのかを探すストーリー』として成り立たない のです。 『神隠し』は迷信的なワードではありますが、誰でも直面し得る自分探しという課題の現実味も込められてるのでしょう。 そういう意味では、この作品の表題としてこれ以上にない重要なワードなのです。 『千と千尋の神隠し』をフル動画無料視聴する方法は?【宮崎駿監督作品】
【ジブリ】『千と千尋の神隠し』を徹底解説!あらすじ、主要キャラと声優、トリビア、公開年、興行収入まとめ!
こんにちは、Reneです。 今回はジブリ映画『千と千尋の神隠し』を丸ごと徹底解説します! アカデミー賞の長編アニメーション部門受賞を受賞し、日本国内の興行収入ランキング2位の『千と千尋の神隠し』。 スタジオジブリ作品の中でも登場キャラクターが多く、ストーリーに隠喩された意味などを知れば知るほど深みをます物語となっています。 あらすじはもちろん、キャラクターや声優、興行収入記録、トリビアなど様々なトピックから『千と千尋の神隠し』を読み解いていきましょう! 千と千尋の神隠し:作品概要 ジブリ映画『千と千尋の神隠し』は2001年公開の映画です。 スタジオジブリ作品の中でも歴代1位のヒット作で、海外からの評価も高い1本です。 2020年には新型コロナの影響で新作映画の公開延期が相次ぎましたが、全国の映画館で『千と千尋の神隠し』を含む4本のジブリ映画がリバイバル上映されました。 リバイバル上映でも多くの観客を動員し、興行収入記録をさらに伸ばしています。 千と千尋の神隠し:あらすじ では『千と千尋の神隠し』のあらすじを紹介します。 後半は物語のエンディングに関するネタバレがありますので、未見の方はご注意くださいね!
『千と千尋の神隠し』考察。宮崎駿監督が映画に込めた意味やメッセージとは?
終わりに 幾分と回り道をしたが、最後に身近な例を一つ挙げてみたい。ネットショッピングで買い物をすると、おすすめ欄に自分が正にこれが欲しかったと思えるような商品が出てきた経験をしたことはないだろうか。さらに言えば、そのサイトで買い物をすればするほどそのような経験は多発する。それはコンピューターがオンライン上で自分の好みを割り出し、近似したものを提供するからに他ならない。しかし、同時にそのようにしておすすめされた、寧ろ自分のことを自分よりもわかっていると思わせるような欲望を作り出すシステムを前にして、一体本当の<わたし>の欲しいものとは何であったのかという感覚に陥ることはないだろうか。これこそ「欲望」を作り出した結果のアイデンティティの危機に他ならない。カオナシとはそのような存在の極限にいる存在であり、それは極めて現代を生きる我々に近いと言えるのではないだろうか。千尋やハク、鎌爺的態度で人や社会と接することは如何にして可能だろうか。
)白米であってよかった。そして油屋のものを3日食べることで千は「人間のにおい」が消えた。 ◆招かれると入れる それまでカオナシはなんとなーくぼーっと外に立ってたが、千が障子を「ここ、開けときますね」つって事実上「招待した」ので、中に入ることができた。カオナシが入ってきたとき湯ばあばは「何か変なものが入った」と感知した。つまりカオナシはそれまで油屋に入ったことがなかった(入ることができなかった)のだ。cf. 藤崎竜「屍鬼」。 ◆名前を知られると呪縛される さっき言うたやんな。 ◆アイテムゲット→アイテムつかう 腐れ神を退治したらお団子がドロップした。強いボス倒したら強い剣が手に入るというRPGの世界観だ。ネクラでゲーマーな千尋は(いや、知らんけど)「すごいやつからもらったんだから多分すごいものなんだろう」とRPG的感覚で団子を大事にとっといて、ここぞで使った。実際見ててあれっと思ったのだ、誰か訳知ったやつが「おーその団子はすげーアイテムだぞ!」とか教えてくれたわけでもないのに、千尋は使いどころをちゃんと心得てるげだった。まずハクに半分使う → 悪い呪いの虫を吐き出させることに成功。次、暴走カオナシに使う → なんか弱体化することに成功。RPGのノリを分かってたことが千尋に有利に働いたのは偶然ではない。実はRPGの世界観の原型は 神話 だから。 ◆謎をかけられる 親を人間に戻して自分は油屋を出ていく、という千に対し、最後の試練が与えられる。豚が5頭引き立てられ、この中から「お前の両親を見分けろ」という。この 謎かけ というのがまた神話の道具立てだ。オイディプス王。しかし、その中に両親がいないことが、何で千尋に分かったのだろう? ◆振り向いたらアカン 最後、トンネルを出るまで振り向いたらいけないよ、というのは、これは明らかにオルフェウス=エウリュディケー神話類型。日本でいう古事記のイザナギの冥府下りだ。神話だとしばしばダメなのに振り向いちゃうのだが、千尋は振り向かなかったから無事出られた。その横顔は「もう撮れ高は十分なはずだ」と語っていた。 跋 見たものについて何か語る、の練習として以上書いた。 参考文献なしで書いてるのでいろいろ間違ってるかもしれない。逆に、何も見ないで書いてるからこそ余り人が言わないようなことを言えている可能性もある。 「千と千尋の神隠し」、今回わりと見直した。わりと面白かった。 でも、よくある質問、「ジブリで一番好きな映画なに?」と聞かれたときに、ベスト3には入ってこないと思う。ベスト5にも入らない。 いわゆる「上が詰まってる」のである。もののけ姫、トトロ、魔女の宅急便、紅の豚、ラピュタ、耳をすませば。このあたり(神6)の牙城は崩せない。 単純に「千と千尋の神隠し」に出会うのが遅かったんだと思う。よくある古参ファンの固陋と排他。先に出会ったものにほれ込んでしまった結果、後のものを受け入れられなくなった、それだけのことだろう。見どころの多い、いい映画なんだと思います。